【就活・転職】デザイナーズor企業|就職先に悩むアパレルデザイナー&パタンナーへ
専門学校の就活の頃、本当はデザイナーズブランドに入りたくてうずうずしていた私。
卒業した学校では企業への就職が当たり前で、学校としてもそれを勧めてました。
夢と現実との間で悩む学生さん。
もしくは転職を考えている方。
パタンナーとして業界大手企業→デザイナーズブランド
どちらも経験した私の経験からヒントを得てください。
結論を言うと、新卒なら『大企業』をおすすめします。
その理由やデザイナーズブランドの内情についてもお伝えしていきます。
最後まで読んで、悩みの解決の糸口にしてくださいね。
大切なのは基礎を固めること
デザイナーもパタンナーも、一人前の技術を身につけるのが第一です。
学校で3年、もしくは4年。
血眼(ちまなこ)になって課題提出やらプレゼンやらと追われる毎日でしたよね。
私は大学にも通いましたが、間違いなく専門の方が多忙でした。
それでも、社会人になると知識も技術も全然足りないことを思い知ります。
- 自分の業務範囲
- シーズン毎のアイテムバランス
- 商品単価
- ブランドに合わせたデザイン、パターン
- アイテム、ディティール、素材や始末の知識
- etc…
この基礎。最初に身につけないと『実は知識のない経験者』になってしまいます。
そしてデザイナーズブランドは企業よりもブラックな体制がデフォルト。
つまり、よほどの人材(面倒見の良い人)がいない限り『教えてもらえません』から…
どれだけ危険な賭けになるかわかると思います。
大企業がおすすめな理由
企業に入るのがおすすめ。その中でも『大企業』であることがポイントです。
大きい会社で毎年新入社員が数十人単位で入っている会社であれば『教育する』ことに慣れています。
『教育する体制』が一定水準であると見込めますよね。
小さい企業に入った友人は雑用をさせられ、1年以上も配属先が決まらないと嘆いていました。
私も新卒の洗礼は受けましたが、それでも入社後3ヶ月で実務に入ることができました。
手を動かしたい技術職の方にこの差は大きいですよね。
学ぶチャンスが得られる環境
「研修があるのはわかったけど配属後はどうなるの…?」
安心してください。
大手の企業であれば大体『教育係(呼び名は様々)』が付きます。「教えてくれる先輩」ですね。
正直アタリハズレはありますが、教えられるレベルの人が側にいることは心強いです。
教える側も評価に影響するので真面目に向き合う必要があります。
(意に介さない変わった人もいますが、その場合は人事に相談しましょう…)
人事がいる規模の会社ってことが大事!
意見が通らん場合も多いけど、相談できるだけでもちゃうよ。
そっか、小さい会社やと人事とかないんか…
人材と知識の豊富さ
探せば『教えてくれる』『教えるのが好きな人』が必ず居ます。
私はこんな親切な方々に育てられました。
これは人材の多さが成せるものだと感じます。
部署が違っても『聞かれたら教えてくれる人』がいました。
素材(生地・原料)担当の人、生産管理の人も疑問には何でも答えてくれました。
この情報量は圧倒的です。
自分から学びたいと思えばそこら中に知識が溢れています。
同期、同年代がいる
部署が違えど『同期が居る』ことは救いになります。
また周りに同年代がいることで自分のレベルや得意なこともわかりやすいです。
目標にできる先輩がいれば最高な環境と言えるでしょう。
同期って特別な存在やんな〜
めっぷも会社辞めてからでも仲良くしてもらってる!
業界の全体を知る機会
スケジュール感や工場とのやりとり、企画から商品が店頭に並ぶまでの工程が見渡せます。
多くの人が効率や生産性を考えた“洗練された業務の流れ”を学べるのです。
企画の中でも通常、急ぎの場合の回し方の違い。
店頭での見せ方やプロモーション。
仕事の量に対してどれだけの人員が必要なのか。
などなど…
大手ならシステムも整っているので雑務が短縮されます。効率良く学ぶことができますよ。
ここは圧倒的にデザイナーズには無い部分やったなぁ
どゆこと?忙しいから?
それもあるけど。
情報共有が全くないから自分の仕事の範囲でしかわからん。
とても“全体がわかる”なんてことはなかったで。
デザイナーズブランドのリアル
企業で学べる内容はデザイナーズブランドでは全く学べない。というわけではありません。
ただ、スケジュールや業務量が全く違います。
私の入ったブランドでは、前述の「教えてくれる人」は居ませんでした。
そんな世界です。
ただし、ここでしか味わえないものも大いにあります。
企業ブランドでは味わえないクリエイション
企業に入ったら(デザイナーズブランドに入りたいと考える人が)ぶつかるであろう課題。
それは、デザインの『つまらなさ』かも知れません。
トレンドを取り入れたデザインをできるのはヤングのブランド。
高級な素材やこだわった始末ができるのはミセスのブランド。
いいとこ取りのブランドなんてごく僅かですから。
そんな夢のようなクリエイションができるのがデザイナーズブランドです。
トレンドを追いかけるのではなく『トレンドを創る』世界。
作りたいように作ってから売る時の金額が決まる。(調整は入りますが)
そんなクリエションはここでしかできないと感じました。
生地はもちろん、副資材も贅沢!
企業ではコストカットばっか考えてたから温度差にびっくりした〜
根本的な考え方から違うんやね!
取引先工場のレベルも高くて、業界広いな〜って思ったわ。
ファッションの先端にいる感覚
新しいものを一番に見るのが常に自分たちだという経験は貴重でした。
ブランドの核を感じさせながら新しいデザインを生むとはこういうことかと…
そして天才的なクリエイター(先輩)が存在しました。
センス、ものを見る目の良い人の集団だということは実感しました。
人間関係や働きやすさ
正直に言って私は全く人間関係には恵まれませんでした。
部署で差はありますが、他部署を見ても企業の方が健全でしたね。
メンバーはこれまでの人生で見たこともないレベルの「気の強い人」が集まっていました。
“デザイナーズブランドで働こう”という人はそうでないと続かないのでしょうね。
最強ダイヤモンドハートな人ばっかりやった〜
おぉ〜ちょっと怖い〜〜
働きやすさは感じませんでした。ほぼ年中繁忙期です。
ピーク時はタクシー帰りが続き、ショー前はオールで働きました。
連勤は45日くらいでしょうか?一月半以上は土日もなく働きます。
ただデスクで仕事をするのではなく、想像以上に走り回るので体力も必要です。
脳が死ぬ感覚を味わいました。
スケジュールに余裕のあるブランドも探せばあるかも知れませんが、
別のデザイナーズブランドも経験した先輩は似たり寄ったりだと言ってました。
コレクション(ショー)があるブランドでは避けては通れない道だと覚悟しましょう。
平均年齢は…?
そんなにしんどいなら、体力のある20代ばかりが働いているのか?
と思われるかもしれませんね。
いえ、20代は少なく30代と40代が主力でした。
豊富な知識と経験がないと作れないので当たり前なのですが若手は少数です。
新卒でバイトから入った子は5年経っても雑用係。
担当できて有型(自分ではほぼ触らない)Tシャツ程度でした。
教育制度が整っていないので知識がないと実務はさせてもらえません。
多少は教えてもらえるけど、企業みたいな手厚さはないで。
5年も雑用…企業ならもっと経験積めてるってことやんなぁ〜(悲)
ベテランからデザイナーズブランドへ
私が在籍中、50歳手前くらいで企業から入ってくる方がいました。
先輩によると以前にもデザイナーズは初めてで入ってきた50代の方がいたそうです。
ずっと『早く挑戦したい』と焦ってきた私には驚きでした。
他の先輩方も30代で入った方が大半。
デザイナーズブランドへの憧れは温めておいても大丈夫です。
結婚・子育てもライフプランにあるなら、落ち着いてから挑戦しても良いと思います。
独立も夢ではない
同時期に働いていた先輩は数年後に自分のブランドを作っていました。
有名ブランドで経験を積んだという実績はブランドに箔がつきます。
クリエイションの組み立て方やレベルの高いものづくりは企業とは全く別物。
第一線でしか学べないものがあります。
人脈は広く持とう
ここは余談になりますが、大切なことなのでお伝えしておきますね。
企業、デザイナーズに関わらず人との関わりが財産です。
専門学校の友人、会社の同期、先輩後輩との関わりが仕事に繋がることもあります。
個人で仕事を受けることも
私の周りにも個人でディレクターやデザイナー、パタンナーの依頼を受けている人がいます。
きっかけはSNSでの発信や退職した会社でのつながりなど様々。
どんな未来に繋がるかわからないので、センスの合う方との出会いは大切にしてくださいね。
まとめ
企業とデザイナーズブランドの違い、伝わりましたでしょうか。
わかりやすく書こうと思ったら長くなりました…
若くてまだ知識や技術に不安がある方は無理にデザイナーズブランドに挑戦するのは危険です。
企業でしか学べない、見れないものも書ききれないほどたくさんあります。
そして何より大切なのは広い知識です。
「デザイナー」「パタンナー」というカテゴリーに縛られず知識欲を爆発させてください!
みなさんがよいクリエイティブを続けられますように☆